モルフィネスは怪訝な表情になって言った。「このままで�
�い、いやこのままにしておいてくれ。馬鹿な事を言った。�
��意など払われたら、頭が変になってしまう。」「・・・。
」「俺とステルポイジャンの器量比べか、奴の方が上だろ�
�。年季も入ってる事だしな。」「今回の場合、ステルポイ�
��ャン本人はゲッソリナを動けないだろうから、副官のガス
トランタかニーバルとの勝負になる。」「ガストランタ、�
�ーバル・・・ふっ。」モルフィネスの言葉にハンベエは苦�
��を浮かべた。「何がおかしいのだ。」「いや何、その二人
なら王宮で会った事があってな。」「それで。」「ステル�
�イジャンに較べると、随分と小物さ。」ふとハンベエは、�
��れ際、ステルポイジャンに言幼兒教材 ったセリフを思い出した。なるほど、あんな奴らが腹心で�
�ステルポイジャンも心許なかろう。陰謀を巡らすには重宝�
��たが、戦となったら・・・もし、コーデリアス閣下が生き
ていたら、俺とステルポイジャンはどうなったのだろう、�
�とハンベエはそんな事を思った。（いや、どうにせよガス�
��ランタは斬らねばならない。）直ぐに打ち消した。「そう
なのか、とすれば、ステルポイジャンは簡単にはタゴロロ�
�ムに兵を派遣しては来ないかも知れない。全軍でないにし�
��も、負ければ反対勢力が一気に勢いづく事になる。」モル
フィネスの戦力分析は続いていた。「なるほどな、話を聞�
�てる内に大分見えて来たぜ。」「まだ、話は終らないぞ。�
��後に個人的武勇の比較だ。ハンベエに煮え湯を飲まされた
お陰で、私も個人の武勇について、考えを改めた。それも�
�、戦の勝敗を分ける大きな要因となる。」「それなら、こ�
��ちが勝ってるぜ。何せ、俺とドルバスが居る。」「・・・
と言ってやりたいが、向こうにもいる。」「ほう・・・。�
�「四天王と呼ばれる連中がいる。ゲンブ、スザク、セイリ�
��ウ、ビャッコ。いずれも歴戦の勇士であり、剣の達人だ。
」「シテンノウ。」「それに、ステルポイジャン軍には無�
�を誇るテッフネールという男がいる。ここ十年消息が不明�
��が、恐るべき使い手だ。」「どれも、初めて聞く名だが。
」「四天王はずっと南方にいたから、ゲッソリナ辺りでは�
�前が出なかったのだろう。テッフネールは言ったように十�
��ほど人の口の端に上っていない。だが、恐るべき使い手に
は間違いない。駆け出しの頃のエル、エルエスーデが立ち�
�ったらしいが、子供扱いだったそうだ。奴の頬の傷はテッ�
��ネールに付けられたものだ。」「・・・エルエスーデ・・
・子供扱いか。」「尤も、エルも駆け出しの頃だったから�
�再戦したらそう易々と敗れる事も無かったかも知れないが�
��」「何故、殺されなかったんだ？」「そこまでは知らない
。エルもそんな事情は話さなかったし、聞きもしなかった�
�」言いながら、モルフィネスはハンベエの表情に瞠目した�
��笑っているかのように見えるのである。ほんの僅かである
が、嬉しそうな顔色に変わったように感じられた。敵にも�
�勇に優れた人間がいると云う、味方にとっては有り難くな�
��話を前に嬉しそうな顔をするとはどういう神経なのか。「
・・・どうかしたのか、急に俺の顔をしげしげと見やがっ�
�。」ハンベエはどうやら自分の表情の変化に気付いてない�
��うだ。「いや、喋り疲れただけだ。」モルフィネスは誤魔
化して視線を外しながら、こいつは根っからの喧嘩屋だ、�
�い奴が敵の中に居ると聞いて、我知らず心が躍っているら�
��い、と腹の中で思った。「長話になったな。しかし、モル
フィネスの話は大いに参考になった。次に打つ手も見えて�
�たぜ。」ハンベエはのその言葉に、モルフィネスは立ち上�
��って執務室を出て行った。去り際モルフィネスは、これか
らも私の提言に耳を傾けてくれ、勝ちたいならな、と言お�
�と考えたが、止めた。その必要もないものと思えたのだ。�
��かしな事に話がし易い奴だ、妙な男だ、とモルフィネスは
思った。パーレルに依頼した王女エレナを描いた旗は既に�
�成し、量産化に入っていた。前肢を高々と上げた白馬に跨�
��る姿や、剣を頭上に掲げて背後に兵士を従えて進む姿など
、勇壮で優美な姿で数パターンの旗が作られていた。
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